日々これきらり

にっこり、ほっこり、きらり。春夏秋冬、毎日の暮らしの中で体験したことやお役立ち情報をつづります。

妹のいたずらで雛人形の五人囃子が楳図かずおの【まことちゃん】になってしまったよ

私が生まれた年に、母方の祖父母が7段飾りの雛人形を買ってくれました。すました顔の雛人形が多い中、祖父母はあちこちのお店をまわって、かわいらしいお顔をしたお人形を選んでくれたんです。

どのお人形も、微笑んでいるような優しいお顔をしています。7段に並んだ雛人形をじーっと眺めているの、好きだったなぁ。

中でも、幼い顔をしている五人囃子たち。

ある日、「あれっ!?」と違和感を覚えました。何かが……ヘンです。

そして、私はとんでもないことに気づきました。

なんとなんと!五人囃子の一人の髪型が……変わってしまっています。

もみあげのところの髪がブチッとカットされていて、楳図かずおさんの漫画に出てくる「まことちゃん」そっくり!

五人囃子

髪を切られた五人囃子

妹が、五人囃子の髪をはさみで切ってしまっていたのです。

もみあげの部分が両方ともちょん切られているので、まさしく、まことちゃんそのもの。笑えるで~、ほんま。

幸い、髪をカットされたのは、全員ではなく一人だけでした。

ほっとして、よく見てみると、実はもう一人いました。かわいそうに、この子は片方のもみあげだけがなくなっていますよ。もう、勘弁して~。

「どこか他にも、おかしなところがあったりして」と思って、さらに調べてみると。

ありました、ありました。

一人の五人囃子の口のまわりに何かついています。妹に聞いてみると、「ご飯を食べさせてあげた」とのことでした。ひぇぇ~。

男雛や女雛、三人官女は無事だった

「まさか、お内裏様にも何かしたんじゃ……」と焦りましたが、男雛も女雛も三人官女も無事でした。

さすがに、女雛や三人官女の長い髪を切ってしまうのはダメだと思ったのかな。それか、まだちっちゃくて、上の段まで背が届かなかったか。

女雛や三人官女が、セミロングのヘアスタイルになっていたとしたら……。かなり、おもしろかったかもね。

持ち物と並べる順番

五人囃子を並べる順番って、なかなか覚えられないです。五人の持ち物も間違えてはいけないし。説明書を見ながらでないと、できません。

みんな、手に何かを持っているんですよね。四人が楽器を持っていて、後の一人は扇を持っています。扇を持っているのは、歌を歌うお役目の人。

楽器は太鼓が3種類と横笛です。並び順は、向かって左側から、太鼓、大鼓、小鼓、笛、扇となります。

太鼓は床に置いて、両手にバチを持たせます。大鼓は左側の腰のあたりで抱えるように持たせ、小鼓は右肩に乗せます。

小学生の頃、「横笛を吹いてみたいなぁ」と思いながら眺めていたものです。

五人のかわいいミュージシャンたち。いったい、どんな曲を演奏していたのでしょうね。

三人官女

五人囃子の一段上に並んでいる三人官女も、全員、手に何かを持っています。三人官女の持ち物は、白木の台のようなものと金色の食器らしきお道具。

三人官女

お道具

  • 島台(しまだい)または三宝(さんぽう)
  • 長柄(ながえ)
  • 提子(ひさげ)

木製の台は島台といって、おめでたい行事で使う飾り台です。島台には、縁起のよい松竹梅が飾られます。島台ではなく、三宝を持っていることもあります。三宝も台のようなお道具ですが、盃が乗せてあります。私のお雛様は、金色の三宝バージョンです。

神社でよく見かける柄杓(ひしゃく)のようなお道具は、長柄です。そのまんまですね。柄の部分が長いです。お酒を注ぐために使うお道具です。

そして、提子。ひさげと読みます。お鍋とやかんを足して2で割ったような形をしています。こちらも、お酒を入れて使います。提子は水やお酒を温めるために使うこともできるそうで、まさに、お鍋ややかんのように使われていたのですね。

並び順

三人官女は、座っている人と立っている人がいます。座っている人が一人で立っている人が二人の場合と、立っている人が一人で座っている人が二人の場合があります。

私が持っている雛人形は、座っている人が一人です。この方を真ん中にして、両側に立っている人を並べます。

立っている人が一人の雛人形だと、真ん中に立っている人を置いて、左右に座っている人を並べることになります。

三人官女に持たせるお道具は、向かって左から、提子、島台、長柄となります。

お歯黒

三人官女の中に、お歯黒をしている人がいる雛人形もあるんですって!これは初耳でした。

私のお人形には、お歯黒の人はいませんでしたから……って、もしかして、気づいてないだけ?おちょぼ口だから、よく見えていなかったのかも。

お歯黒は既婚者の証。ほかの二人よりも年上ということになります。年若の官女たちを指導したり、行事を仕切ったりするお役目の人だったのでしょう。

さらに驚いたことに、お歯黒の人は眉毛がないとか。芸が細かいです。こういう職人さんたちのこだわり具合って、日本が世界に誇れるところだと感じています。

三人官女は未婚のお嬢さんだとばかり思っていたのですけれど、違っていましたねぇ。

こんな風に、ちょっとした情報を得てから、改めてお雛様を眺めてみると、発見があっておもしろいです。昔の日本で生きていた人たちの暮らしぶり。あれこれ空想にふけってしまいます。

子どもの頃とは違う視点から、ひな祭りを楽しむのもいいものです。

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